色の与えるイメージについて考えてみたことありますか?例えば「リーダーって何色?」「紫色って品が良さそう?悪そう?」など(人それぞれ色に対するイメージは違うかもしれませんが)一般的な色のイメージはあります。そのイメージがどうして生まれたかを一部ご紹介します。
色名の語源
古い時代から存在する色は4色と言われています。「アカ(赤)」「クロ(黒)」「アヲ(青)」「シロ(白)」です。これらは「文化の原色」とよばれています。その後は黄色、橙色、茶色、といったように「色」が含まれるものが増えていきました。
文化の原色の4色の語源は
アカ(赤)・・・「アカるい(明るい)」と同源で夜が明けて明るくなるという意味からの転用
クロ(黒)・・・「クラい(暗い)」と同源で日が暮れて暗くなるという意味からの転用
アヲ(青)・・・「アヰ(藍)」と同源。シル(顕)し」の対語。はっきりしないという意味からの転用
シロ(白)・・・「シル(知る)」「シルし(顕)」などはっきりした様の意味の転用
と言われています。
上記のように色名の語源はある状況を転用させてできた言葉が多いようです。どうやら色のイメージもある状況やその物のもつ印象をそのまま色のイメージに結びつけたようなものだと考えられます。
戦隊ヒーローがリーダー色をつくりあげた
こんなイラストがあったら、あなたはだれが何色のスーツを着ていると思いますか?
時代が違うとおそらくいろんなパターンが出てくるでしょう。しかし、1色だけ必ずどの時代でも共通して同じで、しかも上記のイラストのセンターに立つ色があります。それは「赤」です。戦隊ヒーローのセンター(主にリーダー的な存在)はいつも赤のスーツです。これは日本人皆が決めたルールのようです。子供の頃、男の子は皆戦隊ヒーローに憧れを抱き、変身ポーズを真似てみたりグッズが欲しくて親にねだっていたことでしょう。時代を経て約40年の歴史があり、「赤」はリーダーの色というイメージが誰もが持つようになったのです。
私たちは「赤」とは情熱、愛情、活発的、勇気、熱いなど比較的躍動的なイメージを持っているようです。ですのでリーダーに求める「引っ張っていってくれそうな頼れるタイプ」「責任感があり、包容力がある」などのイメージにぴったりなので、「赤」=リーダーという式が成り立っているのだと考えられます。
商品イメージは色が大事!
コンビニエンスストアに何気なく入ってブラブラと陳列している商品を眺めていると、ついつい目が留まるパッケージ、これはたぶん買わないな~と思うパッケージといろいろなデザインが並んでおり、その中から無意識に自分の目に入るものを手にとって買ってしまっているなんてことがありませんか?
色一つでもパッケージデザインには色々な要素(デザイナーの戦略)が含まれています。
・商品イメージを効果的に見せる色
・他社に負けない目立つ色
・季節を感じさせ購買意欲を掻き立てる色
・美味しそうな色
など、多くの消費者が無意識に手に取ってくれるようにできるだけ分かりやすいデザインで作り出すのがパッケージデザインです。
例:牛乳パックのパッケージデザイン
昔、牛乳=青と白というパッケージイメージが印象強く、牛乳の白と冷たく新鮮という意味で青が起用されていました。しかしある時から青と白に代わって赤と白のパッケージデザインが商品化されお店に並ぶようになりました。当時、赤と白=牛乳というイメージがまだ無かったためになかなか売れ行きが伸びずにいましたが、徐々に定着してきて今では当たり前のように赤と白=牛乳というイメージが持てるようになったのです。
色名の含まれた言葉いろいろ
ホワイトカラー・・・会社で働くサラリーマン(白い襟のシャツを着ているから)
シルバーシート・・・高齢者優先席(白髪=シルバー(銀)から)
赤の他人・・・全くの他人(赤=明らかなという語源からはっきりと他人と言えるという意味)
面白い・・・楽しい、愉快な様(面=目の前、白い=明るくはっきりとした様から目の前の美しさを表現した意味から転じた)
青春・・・年が若く夢や希望に満ち溢れている様(青=未熟、春=新の意味から)
日本語にはたくさん色名を用いた言葉があります。それらは情景、状況、その物を表していることが多く、色のイメージにつながるものといえるでしょう。
紫色はどっち?
その昔、聖徳太子は冠位十二階で色を用いて位を決めていました。紫→青→赤→黄→白→黒(それぞれに濃と淡で12に分けていました)高貴な色の紫は当時、原料が少なく、染色で紫色を出すことも難しくとても貴重な色だったのです。
しかし現代、どんな色でも鮮やかに美しく表現することが出来るようになり、紫色一つとってもケバケバしい度ギツイ紫色もあれば、品格のある重厚な紫色もあります。ですので色に対するイメージは昔に比べて多様化しました。ランドセルも昔は男の子→黒、女の子→赤だったのですが、今では何色ものバリエーションがあり、子供たちは自由に選ぶことが出来ます。
ここでさまざまな色のイメージを挙げてみました。
色一つとっても、ある人にはプラスの作用を与えるイメージを与え、ある人にはマイナスの作用を与えることもあります。色は受け取る側の感情、モチベーション、生きてきた環境などで違って受け取ることが出来るのです。
しかし、一般的に共通認識として持っている色へのイメージはそんなに変わりません。その色のイメージをうまくコントロールして広告媒体、流行のファッションなどが作られているのです。
普段気にとめないものも、ふと立ち止まって色をよく観察してみると、そのものの価値観がいつもと違って感じられるようになるかもしれませんね。