色のお話①

多くの色に囲まれて私たちは生活をしていますが、「なぜその色なの?」不思議に思ったことはありませんか?信号はなぜ赤、黄色、青なのか?病院の医者の手術衣はなぜ白衣じゃないの?これらは全て人間の目の認識(視認性)によってできたルールなのです。
テレビなどのモニタはどのようにして色を再現しているのか?印刷物は何色で印刷をしているのか?

テレビ、パソコン、スマートフォン、映画館など、画像や映像をを映し出すものは全て「赤・青・緑」で構成されています。(最近ではより良い再現性を求めて数種の色で再現できるテレビなどが出てきました)これを「光の3原色」といいます。光の3原色は重ねると白く明るくなります。この3原色の頭文字をとって「RGB」と私たちはよく言っています。

雑誌、ポスターなど身の回りにある印刷されたものは基本は4色で刷られています。「シアン(藍)・マゼンタ(紅)・イエロー(黄)・ブラック(黒)」です。これも光と同様「色材の3原色」というのがあり、シアンとマゼンタとイエローを混ぜると黒になっていきます。こちらも頭文字で「CMYK」と私たちは言っています。

このように、身の回りにある製品の色というのは基本の色の調合によってカラフルな表現ができているのです。

〈例1〉モニタの場合 赤(red)+緑(Green)=黄色の光

〈例2〉印刷の場合 マゼンタ(Magenta)+シアン(Cyan)=紫色

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色の特性ってなに?

テレビやスマートフォンは3色、印刷物は4色で作られていると分かったところで、今度は色の明暗、そして鮮やかさ鈍さのお話です。色を表現する上で「明度彩度」という言葉は欠かせません。いくら美味しそうな料理の写真でも鮮やかに明るく表現できていなければ料理はまずそうに見えてしまいます。そこで、私たちののように印刷に携わる者やデザイナー、カメラマン、テレビ局など画像や映像を編集する仕事をしている人たちは色の特性をよく理解していなければならないのです。

例えばこんな問題!

どちらの青色が濃く見えますか?

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両方とも、同じなのです。しかし左の方が濃く見えますよね?左は明るい色が回りに配置されているのでその差で青がより濃く見えるのです。右は同じ暗さの色が配置されているので青がそれほど目立って見えないので左の青に比べて濃さを感じないのです。

こちらをご覧ください。

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上の写真を見て頂くと分かるように、「明度」と「彩度」というものがあり、一般的に表現されるものとして「明度の高い色を(本来は明るい色と言うところを)薄い色」「明度の低い色を(本来は暗い色と言うところを)濃い色」と言う人が多いのです。また「彩度の高い色を(本来は鮮やかな色と言うところを)明るい色」「彩度の低い色を(本来は鈍い色と言うところを)暗い色」と表現する人が多いのです。

上記を踏まえて青色のある円のことを言うと

左→明度が高く、彩度が低い色が周りにあり、他の3色より青は明度が低く、彩度が高いのでその差が青色を引き立たせているため目立って見えている。

右→青とその周りの3色は明度も彩度も同じなので差が無く、青色は目立って見えない。

色の作用ってなに?
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左の紺に水色の「i」の文字と右の水色に紺の「i」の文字ではどちらの「i」の文字が膨らんで見えますか?左の水色の「i」の文字が膨らんで見えませんか?よく服選びで「膨張色」なんて言葉を聞いたことがあると思いますが、明るい色は広がって見え、暗い色は締まって見えるのです。

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ではこちらはどうでしょう?どちらの円が手前に向かってきているように見えますか?赤色の方が前進してくるように見えませんか?色には暖かい色、冷たい色という表現もあります。左の円は「暖色」(赤、黄色、オレンジ、ピンクなど)右の円は「寒色」(青、緑、紫、水色など)の集合色で作られたもので、人間の目は寒色より暖色の方が捉えやすいと言われています。

つまり、信号機の赤は人間がすぐに察知できる色で遠くからでも色の認識ができるので、止まれの合図として赤色となったそうです。そして赤より少し後退する色で、青より早く認知できる色として注意喚起の合図として黄色となり、前進が青色となったそうです。

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補色残像

下記の図は「色相環(しきそうかん)」といいます。虹色の順番「赤→橙→黄→緑→青→藍→紫」に赤紫を加えて、リング状にならべると下のようになります。これを色相環といいます。この環の反対色同士を補色といいます。

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あるをしばらく見つめた後、その色を視界から消去すると、視覚上にはその補色であればであれば黄色)が残像として残る。これを「補色残像」といいます。

ここであるお話を一つ・・・

病院といえば、「白」のイメージです。清潔感を大事にする場所なので、白衣、看護服、手術室など、ほとんどが白色でした。ところが、現在手術衣はエンジ色や緑、青など白以外の色が使われ、その他、患者にかける布、手術室の壁などあらゆるところで緑色が使われています。

手術中、医者は血を長時間見ています。赤い色を見続けると赤に対しての反応が鈍くなります。この状態で白いところを見ると、青や緑のシミが見えます。これが補色残像です。医者はこの補色残像で医療判断が難しくなることもあります。そこで壁や手術衣を緑や青にしておくと、赤い部分から視線を動かしても、もともとの色に隠れてシミを感じることがありません。よって最近はほとんどの病院で緑や青の手術衣や手術室の壁が取り入れられてきたのです。

以上のように、色の基本、特性、作用などを理解して初めて色を操作できるようになります。身の回りにあるあらゆる色がどのようにして選ばれた色なのかを考えて見てみると、きっと今までと違った見方で見ることが出来ると思います。