サイン・ディスプレイのあれこれ①

サイン・ディスプレイとは屋外広告、施設案内表示、POP広告、交通標識など街を歩いて目にするもの、建物の中で私たちを誘導してくれるものを総称して言います。ところで看板の歴史って意外とおもしろいって知ってますか?
夏の風物詩

今では甘酒は冬に飲むものとして定着していますが、江戸時代は真夏に飲むものだったそうです。なぜなら甘酒は夏バテ防止、滋養強壮に良いものだからだそうです。他に枇杷の葉を煎じた飲み物を「枇杷葉湯(びわようとう)」と言いますが、これも甘酒と同様に夏の飲み物とされていました。こちらも夏バテの他、下痢などに効果があるそうです。

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江戸時代の売り子は天秤棒で商品を担いで売り歩く営業スタイル。枇杷葉湯売りの入れ物には「カラス」、甘酒売りの入れ物には「富士山」が書かれていました。今で言うロゴマークです。枇杷葉湯は京都二条烏丸通りの薬屋が売り出した薬だから烏のマーク。甘酒の方は「富士山に肩を並べる甘酒屋」と句に詠まれるほど江戸庶民に人気だったため富士山のマークだったと言われています。

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変化を楽しむデザイン

では酒屋さんの軒先で見かけるこれはいかがでしょう?

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酒の神様の御神体である杉の葉で球状につくられます。新酒が出来上がる頃に青々とした杉玉が用意され、酒の熟成が進むのと合わせるかのように茶色く色づいていきます。別名「酒琳(さかばやし)」と言います。

今ではコンピューターシステムによって動いたり、変化したり音を出すなどアクションの可能な看板はたくさんありますが、古来

①美味しい酒ができあがることの祈念

②お客様に酒を待ちわびて頂く営業活動

③フォルムの美しさ

を併せ持つ看板デザインが存在し、それは現代に受け継がれています。とても素晴らしい日本の風景ですね。

ユニークで分かりやすい昔の看板

江戸時代、文字の読める人が少なかったため木製立体看板が主流でした。

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例えば左の鎌とお碗が描かれている看板。これは「かまわぬ+入れ」という意味。つまり今で言う「営業中」ということ。次に真ん中の円の看板。これは見て分かるとおり「絵具屋」の看板。そして右の葉の形の看板は煙草の葉を表しています。つまり「煙草屋」ということが見て分かるのです。このように絵や形で意味を表現するスタイルが江戸時代の看板だったのです。見ていて面白いですし、一目で分かることの大切さを改めて教えてもらった気がします。