証憑書類の電子化

印刷屋で固定的な売上げと言えば「証憑類」。請求書や領収書などの伝票から契約書や請書などの書類です。これらは販促の性質を持っていませんが、昔から企業活動には必需品のものなので、印刷屋は版を一度作れば特に内容の変更がなければ、継続的に注文を頂ける商品なのです。ところが・・・。

「スキャナ保存制度(電子帳簿保存法第4条第3項)」

平成27年度の税制改正により「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施工規制(平成10年3月31日号外大蔵省第43号)」の一部が改正され、いわゆるスキャナ保存の要件のうち一部が改正されました。

平成27年度改正以前、「3万円未満」の証憑でなければスキャナ保存は認められていませんでした。改正後金額の基準が廃止され全て対象となりました。

平成28年度の改正ではスマホ、デジカメなどの読み取りも対象に加わった他、原本を本社、本店以外に支社、支店、事務所などで保管可能となりました。これにより、クラウドによる経理処理が可能となり、時短・コスト削減に大きく影響を与えます。

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「スキャナ保存制度」とは?

領収書、請求書、見積書等の国税関係書類について、真実性、可視性を確保するための一定の要件の下、スキャナによる保存を認めるものです。

ただし、「適正事務処理要件」を満たすための社内規定を整備し、順守する必要があります。適性事務処理要件とは、原本となる書類の改ざん防止につながるポイントによって定められています。下記要件を満たした上で、開始3ヶ月前までに申請すればOKです。

〈1〉相互けん制(事務処理の職責の所在を明確にしそれぞれ別の者にする)

〈2〉定期的なチェック(最低限1年に1回以上の検査を行う)

〈3〉再発防止策(問題点の究明後、経営者、幹部に報告し見直しなどがなされる体制がある)

「スキャナ保存制度」のメリット

メリット① 保管コスト・運搬コストの削減

メリット② 監査(外部・内部)において仕分けと証憑が同時に確認でき、検索・問い合わせの対応など業務の効率化がはかれる

メリット③ 税務調査における時間・手間の削減

スキャナの解像度

私たちの仕事はいつも写真の画質や印刷物の仕上がりに注視しているため、どの程度の画質で証憑類をスキャンすれば良いかが分かりますが、これが意外と難しいところでは内科と思います。例えば、ポスターなどに使用する写真はとにかく高い画質でないと、印刷した時に写真がガタガタになってしまいます。また、テレビやSNSなど画面を通して見る写真は大きいとなかなか開きません。こうしたものは低い画質で保存すべきでしょう。しかしただ低くても見た目が荒いものになってしまっては元も子もありません。メディアによって適正な画質を知っておくことが大切です。

今回の「記録として」必要な画質は200dpi以上が好ましいとされています。白黒の文字のみの書類としては少し大きめかと思いますが、文字が小さくてもくっきり出る画質ではあるかと思います。そして保存データとしてはそれほど重いデータにはならないかと思います。

今後・・・

これから経理の取り巻く環境は大きく変わっていきます。現時点で「フィンテックの導入による自動計上」「電子インボイスの導入」などが目前にあります。業務効率化だけでなく、経理業務そのものの見直しをする機会に立っているのかもしれません。

 

参考:国税庁出典https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sonota/02.pdf