紙のお話

印刷会社にとって紙の種類を多く把握していることは前提なのですが、昔に比べて種類は豊富にあり、全ての紙を日頃使用しているわけではないので、全部を頭に入れておくことは困難です。しかし基本的なこと、よく使用する紙についてはよく知っています。

紙とは

植物の繊維(パルプ)を取り出して水の中に分散させ、それを薄く、平らに漉きあげたものを言います。もともと国内の原料で作られた手漉き法によるものは「和紙」と呼ばれ、明治初期、舶来洋紙、輸入洋紙と呼ばれた西洋で発展された紙を「洋紙」と呼んでいました。

紙の種類

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●上質紙

PPC洋紙、普通紙などとも呼ばれコピー紙、プリンタ出力紙など広く使われています。光沢インクが沈んだような落ち着いた感じで印刷されます。また、インクがにじみやすく、高精細の4色カラーの印刷には向かないため、主に単色(1~2色)印刷で使用されます。

●コート紙

上質紙の表面に塗料をコーティングしている紙です。光沢があり、インクののりがよく着色効果が高いのが特徴です。料理写真やジュエリー写真など鮮やかさが大事な印刷物にはコート紙を選ぶことが多いのです。

●マット紙

上質紙の表面につや消しのためのコーティングが施されている光沢のない印刷用紙です。最近のデザインは、鮮やかさよりナチュラル感、落ち着いている雰囲気など色を鮮やかに見せない方が主流になっていますので、よくマット紙が使用されます。

●再生紙

古紙を再生利用した紙つまり「リサイクルペーパー」です。古紙の配合率が何%でも再生紙といいますが、古紙の配合率がわかるように再生紙使用マークが使われています。再生紙にも上質紙・コート紙・アート紙などさまざまな紙の種類があります。ただし、古紙だからといって安いわけではありません。実際は再生上質紙より上質紙の方が安いのです。

●色上質紙

その名の通り、色紙です。色の種類は約40種類(※メーカーによって違います)。色の名前も日本名が多いので印刷会社は、ほとんど色と名前を把握しています。例えば鶯色(黄緑の少し落ち着いた色)、さくら色(ピンクの薄めの色)など。

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紙の厚さ

紙の厚さは(kg)で表されます。紙1枚の厚さをなんで重さのkgで表記するのか?そして、1枚あたりの厚さなのにgではなくてkgなのか・・・。話せば長くなるお話で、かなりややこしいので、紙の厚さに関しては割愛いたします。

ただし、紙業に携わる人、印刷会社の人はだいたい紙を触ればそれがどのくらいの厚さなのか分かるのです。

紙の性質

紙には表裏、目があることをご存知ですか?kaminome

 

紙を触ってみると「つるつるしている方」と「ざらざらしている方」があります。身近なところですと、習字紙、包装紙、奉書紙(法要で使用される和紙)などがあります。これらは表がつるつる、裏がざらざらが正解です。(※まれに逆に使われる時もあります)しかし、世の中にある多くの紙は表裏の違いがほとんどありません。ですので、表裏どちらを印刷面に使用しても問題ないのです。

紙の目」というのは初めて知る人は多いと思います。

製紙工場では大きなロールに紙を巻いて生産しています。その際パルプを一定方向で流しながら巻いていくので紙の進行方向に繊維が流れて「目」が出来るのです。しかし、私達印刷会社にはロールから四角に断裁された状態で納品されてきますので、その紙がどっち方向に流れているのかすぐに判断ができません。そこで、印刷会社は用途によって紙の目を紙業屋さんに指示します。これを間違えると、製本加工(切ったり、折ったり、スジを入れたりなど)が難しく時間がかかるものになります。厚い紙の場合、製本加工時に裂けてしまったり割れてしまう可能性もあるので、紙の目はとても大切なのです。

私達が身近に「紙の目」を調べるには、破いてみると分かります。破きやすい方向が目の方向になっています。

紙の保管方法

最後に紙の保管について簡単にご説明いたします。紙は湿気や日射に弱いため、乾燥した屋内に保管します。紙はもともと植物の繊維から作られているため、伸縮性があります。長時間湿気の多いところに置いておくと水分を吸収して紙がシワシワになります。プリンタ出力にも影響が出ますので、気をつけましょう。また、何年もすると紙は黄ばみます。原料の木に含まれる成分の化学変化によるものです。

大切な印刷物の場合、できるだけ密閉して暗室に保管することをオススメします。